実は孤独(疎外感)を感じる遺伝子は日本人全体の約97%が保持しています。孤独は誰でも感じる感情です。
今回は、孤独を『集団』と『個』から調べてまとめました。
遺伝子からみた孤独
疎外感を受けやすいか否かはモノアミン酸化酵素の生産に関する遺伝子と関連があるとされています。モノアミン酸化酵素とは、神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、アドレナリンなどを酸化させて量の調節を行う働きがあります。この遺伝子により疎外感を標準から受けやすい傾向の人は日本人の約97%と言われています。疎外感を遺伝子的に受けにくい人は全体の約3%しかいないのです。

孤独とは誰もが感じやすい感情のようです。その為、共感しやすい感情の1つになりますが、その感情が生まれるまでの経過は個々人によって違います。
孤独はどこから来るのか
「孤独にさせないように関わりを増やそう」と言う意見はよく聞きますが、人と関われば孤独ではないという発想が落とし穴。
集団をつくることで共感・受容体験が出来ます。一人では出来ないことでも皆で力を合わせれば出来ると言う考えは一般論として浸透しています。最近は個別性にも目を向けられるようになってきましたが、やはり集団は良いものであると言う認識は強い傾向にあると思います。
そして、この集団が良いものであると言う風潮が、集団から溢れた人を孤独にさせているのではないかと思います。

余談ですが、集団でいることで個人の責任感が薄れると言う研究報告もされています。集団でいることで個人に向けられる目が少なくなり、その他大勢になることで問題が発生しても誰かが何とかしてくれる、自分には関係ないと言った心理が働きやすくなります。個人的な考えですが、いじめ問題や汚職事件などもこの影響を受けているように思います。
心理学からみた1人の時間の効果
集団で過ごす時間が必要な理由は有名ですが、反対に個人で過ごす時間はどうなのでしょうか。
心理学研究より、1人で過ごすことにポジティブな感情・評価を持ってる者は1人の時間を有意義に過ごせ、自我同一性が高く、自分自身に対しても、自分と他者・社会との関係性についても確信があり安定していると考えられています。一方で、1人で過ごすことにネガティブな感情・評価を持っている人は他人の目を気にし、安心して1人でいることが出来ず、結果として自分自身の不安定さに繋がり自我同一性の感覚が低くなると報告されていました。
また、1人の時間は『1人で考えたものを集団の中で再確認していくことで“自分”というものを作っていく。その為、必要な時間である。』とも考えられているようです。
※自我同一性とは
- 自分が自分であると言う一貫性があること
- 自分自身が目指すべきもの、望んでいるものなどが明確に意識されている
- 他者からみられているであろう自分自身が、本来の自分自身と一致している
- 現実の社会の中で自分自身を意味づけられる

自我同一性の中には他人・社会の中から自分を意味づけることも含まれているようです。そして、その自我同一性を高めるには1人の時間を有意義に使うことと関連していました。1人で自分と向き合うことが集団に入る為に必要であり、集団に入ることで自分と向き合うことに繋がるのです。1人の時間も集団の時間もどちらも必要であるという結果でした。
また、先に集団でいることで個の責任感が薄れると記載しましたが、これも集団の中での個々人の自我同一性が高ければ目的意識などから集団の質が上がり改善できる可能があると考えます。
まとめ
人は1人では生きていけません。しかし、集団は1人1人の集まりです。今まで別のものとして捉えていましたが、1人と集団は表裏一体。
集団に入る前に本当の自分は何かを明確にする時間を1人になって儲け、集団の中で試す。そこで返ってきた反応から再び1人になって自分と向き合い、集団へと赴く。この繰り返しがあれば孤独を感じる隙は無くなるかもしれません。
闇雲に集団に所属することだけに捕らわれ、自分自身を見失い流されてしまったり、所属できないと嘆き自身の中だけで葛藤することが真の孤独に繋がるのかもしれないです。

他者と過ごす時間と1人で過ごす時間のバランスをとり、 1人でいる時間で考えたことを集団の中で照らし合わせていきたいと思います。
閲覧有難う御座いました。